2019年4月30日:平成最後の野球日和 in 芝公園野球場

CATEGORY 白球のキオク

  • 2019.07.19

六回表「不良を変えた、元不良」

試合ができなかった。 NG中学野球部は、最近でいうところの、風評被害にあっていた。 あの野球部は、喧嘩っ早くて、すぐに乱闘騒ぎを起こす。選手を威嚇する。勝ったら何をされるかわからない、など、噂が噂を呼んで、試合の申し込みを断られ続けていた。 三年生が抜けて、新チームとなり、私が上手かったというよりも、一つ上の学年の先輩が少なかったので、ファーストのポジションを任されるようになった。 いま思うと、何 […]

  • 2019.07.11

五回裏「美しく輝く怪物たち」

中途半端な不良だった。 結果がついてこないと、校内では肩身が狭く、部内は荒れた。 三年生が夏を待たずして敗退。最後の予選がはじまった六月半ばに、早々と引退した。 残されたNG中学野球部は、二年生が十名にも満たず、私を含む一年生が十五名にいて、二十数人での新体制となった。 監督のI先生の腰痛が長引き、暫定的にヘッドコーチから監督代行となった鬼のMさんは、普段の仕事があるので、毎日練習を見ることはでき […]

  • 2019.07.03

五回表「ろくでなし野球部」

「君も吸う? タバコ、美味しいよ〜」 中学校の入学初日を終え、少年野球時代から仲の良かったT君と、ピカピカの自転車を漕いでいると、近所の上級生が声をかけてきた。 思わずT君と顔を見合わせて、そのまま黙ってしまった。 とんでもないところにきてしまったと思った。 大いに、荒れていた。 僕らと入れ替わりに卒業した三つ上の世代と、さらに一つ上の兄がいた時代のNG中学校は、それはもうひどい評判だった。 集団 […]

  • 2019.06.16

四回裏「十歳からのフリーエージェント」

草水ライオンズが、解散した。 監督が交代したことによって、やんちゃ過ぎる少年たちの統率が取れなくなり、内部崩壊。 結果、試合もボロボロに負けることが多くなり、チームを維持することができなくなった。 兄が入団したことにより、野球というスポーツを知った。 小学校一年ではボールに触れられず、ひたすら見学。二年生になったら、やっとキャッチボールをさせてもらえた。三年生になって、やっと代打で試合に出場できる […]

  • 2019.06.06

四回表「さよなら、ライオンズ」

白い砂地のグラウンド。 帽子をかぶった子どもたちが、白髪のおじいさんたちの投げたボールを打ち返している。 人数が極端に減ってしまったが、私の生まれ育った町でも、まだ快音は聴こえている。 学年が四つ上の兄が少年野球をやっていたので、小学校に入学したばかりのまだふらふらな時期から、私はグラウンドで躍動する男たちの様子をじっくり観ていた。 二回り以上大きい高学年の子どもたちである。その時はみんな巨漢にし […]

  • 2018.10.17

三回表「眩しい朝の儀式」

私は朝が好きだ。暗闇の世界が太陽の光を受けて、遠くの山から流れの穏やかな小さい川へと、少しずつ少しずつ明るみを帯びていく。ぽた、ぽた、と朝露が垂れて、緑たちが新鮮な空気を放つために光合成をはじめる。一日の始まりにこの美味しい空気をしっかり吸えると、身心共に軽快なスタートが切れる。親の目を盗んで兄とテレビゲームをするため以外に早起きなんてしなかった私が、何故こんなにも朝を好きになったのだろう。目には […]

  • 2018.08.09

二回表「夏の風物詩へ」

(この文章は、ある人から送られてきた手紙という形式で書かれています。)  この夏も負けて終わりました。 甲子園に出場した地元の高校が、目の前でサヨナラ負けをしたのです。試合終了後に、御父兄さんたちのいるスタンドに挨拶をした彼らが泣いてうずくまる姿を見て、思わず私の両の肩がざわっとしました。それまで三塁側を強く照らしていた西陽が、だんだんとその眩しさを失って、選手たちの影も薄くなっていきました。その […]

一回表「Baseball is beautiful.」

「お前はオレとキャッチボールをするぞ」 ようやく小学生になり、兄の背中を追いかけて潜り込んだ町内の少年野球チーム。そこではじめてキャッチボールの相手になってくれたのは、監督のSさんだった。私にとってS監督は、監督というよりも、町内の行事があるごとに泥酔している中年のおじさんという印象の方が強かった。 私の生まれ育った町内はとにかく行事が盛んで、春の花見をはじめとして、夏は祭りに秋は運動会、冬はサイ […]

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